ハモコミ通信2024年5月号
生活に取り入れたり、仕事で生かすなどしていただけると本望です。
◎ひび割れた水瓶(みずがめ)(ハモコミ通信2012年12月号◆
インドに一人の水汲み男がいました。
天秤の左右の大きな水瓶に水を汲み、丘の上にある主人の館まで運びあげるのが仕事でした。
館に着いたとき、右側の水瓶にはなみなみと水が入っていましたが、左側の水瓶はひび割れていたため水は半分しかありません。
ひび割れた水瓶は 「自分はひび割れていて役に立たないから、取り替えてくれ」と男に頼みましたが、男は何も言わずに水を運び続けました。
右側の水瓶はいつも満杯の水をたたえて得意そうにしています。
2年あまり経ったとき、たまりかねたひび割れた水瓶が
「自分のような出来損ないを使っていては、あなたの努力が報われない。申し訳ないから、 完全な水瓶を使ってほしい」 と、また頼みました。
男は黙って、丘の上から振り返りました。すると、 道の右側には美しい花が咲き乱れています。
水汲み男は、「最初から水漏れに気がついていたのだよ。お前のひび割れを利用して役立てようと考え、私は道の左側に花の種をまいておいたのだ。お前のひび割れのお陰で、雨の降らない土地なのに、こんなに見事な花が咲いた。ご主人様は毎日新鮮な水と咲き誇る花の美しさを喜び、感激していらっしゃるのだ」と言いました。
ひび割れ水瓶はひびがあったからこそ、美しい花を咲かせることに貢献できたことに気づいたのです。
私たちはそれぞれ自分だけのひび割れを持っているのです。私たちは皆、ひび割れ水瓶なのです。 必要でないものは何もないのです。
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<コメント>
自分自身も大いなる 『ひび割れ』 なので、こういうストーリーはいいなぁ、と感じます。
かなり古い話で恐縮ですが、ドカベンという野球漫画では、個性が強いメンバーが、それぞれの持ち味を徐々に生かし合っていく様が痛快で印象的でした。
各々が、一見ネガティブにしかとらえにくいような特質をも、まずは受け入れて、どうやったらそれを良い方向に生かせるか、について思い巡らし、自主的に行動していく。これが理想ですね。
弊社が目指す 『ハーモニーのあるコミュニティづくり』 には、まずそういった一人ひとりの自覚が大切と考えます。
しかし、そうなるためには、一人静かに自分のことを考える時間を持つ必要があったり、「やっぱり駄目なんじゃないか」 といったネガティブな想念に打ち勝たなければなりません。簡単なようでけっこう大変とも言えるでしょう。
ネガティブな想念は常に雑草のように生えてきますから、気づいたらすぐ取り去らなければなりません。
そのためには、このような話(※)に触れる機会を増やすことが、良い習慣と言えるかもしれません。
このコラムは、誰もがその気になればリーダーになれる好事例でもあると思いました。リーダーとは、必ずしも職業や役割ではなく、その人の考え方と行動のあり方である、とよく言われますが、まさにそのとおりですね。
いずれにしても、リーダー役を務める人は、共に働くそれぞれの人の特徴を良く知って、それらを生かす工夫をすることがとても大切になってきますね。
※ この話は違いますが、倫理法人会(弊社も所属)が会員向けに発行している 『職場の教養』 という冊子(非売品)は、まさにこのような良い話の宝箱です。ハモコミ通信のネタにもよく使わせていただいております。